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遠距離介護は 可能な選択?

振り返りエッセイ: 母のこと

遠距離介護の話題

テレビ番組で、お母さまの遠距離介護を実施されているゲストの体験談報告を視聴しました。

 「施設に行きたくない」母親の介護をどうするかという話題でした。私自身も、遠距離で介護を経験した一人です。

父母ふたりで楽しむ

父が定年退職をした後は、老夫婦で旅行に出かけたり、習い事に出かけたりと、ふたりとも、ようやく人生を楽しむことができるようになりました。

気丈な母

趣味仲間と旅行をして帰宅した父は、体調を崩し、入院後数カ月で亡くなりました 。

番組のゲストのお母さまは、小学校の先生だったそうです。気が強くて、施設に入ることを拒絶したそうです。

私の母は専業主婦でしたが、40代で始めた習い事は、その域を超え講師として人に教えるまでになりました。自分の教室を持つようにもなり、やがて派遣講師として呼ばれるようにもなりました。今でいう起業、自分のビジネスを立ち上げたわけですよね。そうやって人の輪を広げていったのだと思います。

母のひとり暮らし 

認知症の診断を受けてからは、母を連れて、いくつか施設見学にも行きました。でもその頃の母は、プライドが高く、素直に施設を利用するとは言いませんでした。本当に、番組で話されていたゲストのお母さまと同じです。

ケアマネジャーさんのアドバイスで、介護用呼び出し電話装置をつけました。買い物やお掃除のヘルパーさんも手配しました。お弁当宅配サービスも利用したことがありますが、夕食づくりを母と一緒にお手伝いしてくださると知って、それもお願いしました。定期的な庭の草むしりは、別のヘルパーさんに、木の伐採は、シルバーセンターにお願いしました。

その頃は、 近所で趣味サークルの講師も続けていたので、その活動が母にとって励みでもあり、人と会う楽しみにもなっていたと思います。

遠距離介護に支障

遠距離介護に支障が出てきたのは、デイサービスやショートステイを利用するようになった頃です。施設を利用すれば、もっと楽になると思われるかもしれませんが、そのこと自体が遠距離 介護を不可能にしました。 通院も、入院も、薬の管理も、施設にすべて任せるには限界がありました。デイサービスもショートステイも、その時間だけの見守りを受けるわけで、 外出前や帰宅後の家族による管理が必要でした母を一人にする時間を作るわけにはいかなかったからです。施設でお世話になっている以外の時間は、常にそばにいることが求められる状態になっていました。

特別養護老人ホーム入所

特別養護老人ホームへの入所の段階で、 離れていてもほとんど心配ない状態になりました。施設にすべての介護を任せられるようになったからです。クリニックも、施設に併設しており、お医者さんが定期的に診察に訪れました。歯医者さんや美容師さんの訪問もありました。入院しなければなかった時も、施設に手続きをお任せすることができました。 介護する側としては、 負担が減り、問題が少なくなりました。施設に入所することができれば、要介護のレベルにかかわらず、遠距離介護は可能になります。

母の衰え

介護される側の母は、施設に入所してから、目に見えて衰えが進んで行きました。施設では、すべてのことを整えてもらう生活で、 自分で動く必要がなくなったからです。台所仕事もありません。洗濯もありません。 歩いて買い物に行くこともありません。人と会話をすることも減りました。地域のサークルで講師をすることが生きがいになっていたはずですが、それもなくなりました。

介護される側の視点

介護される側から の視点で考えた場合、施設での生活は、安心安全です。しかし、変化のない毎日は、皮肉にも認知症の進行を助長して行きました。

次第に足腰も衰え、車椅子の生活になりました。食も細っていき、入院治療の必要な状態になりました。

面会が可能になって様子を見に行くと、病院では、ほとんど病室を出ることもなく、黙ってただ一日中ベッドに横になっていたようです。

余計なこと言うと、迷惑かけるから黙ってるの。

と、繰り返し、私につぶやくのです。ひとりでじっと我慢して、入院生活を送っていたに違いありません。

奇跡的に、病状が回復して、長年親しんだ施設に戻ることができました。久しぶりに、スタッフの皆さんと顔をあわせ、安心した様子でした。

数日後、穏やかに息を引き取りました。

母の顔を思い出して

長年、施設で生活をさせることになって、母に申し訳なかったという思いが残ります。

母が元気なうちに、もっともっと、一緒に楽しむ時間を持ってあげられればよかった…。

施設に入ることになった母は、黙って、すべてを受け入れるようになって行ったのです。

ありがとね。

施設に顔を出す私を、いつも静かに見送ってくれる母のことばでした。

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