エッセイ『シングルファーザー 奮闘記 』を読んで
『シングルファーザー 奮闘記 』という エッセイを読みました。思春期の娘との葛藤を通して、父親が気づいたことについて書かれています。
「出て行け」という言葉
思春期の娘が、だんだん自分から離れていくギクシャクした関係の中で、大きな口論となり、感情的に「出て行け」と言ってしまったのです。
父親は、こう書いています。
「激しく口論した結果、僕は「そんなことを言うなら家から出て行け」と娘へ言ってしまいました。」
出て行くはずはないと思って、感情的に言ってしまった言葉でした。ところが、娘はその言葉を受け取って出て行ってしまったのです。
娘の気持ち
しばらくして戻ってきた娘に、感情的になって言ってしまったことを謝りました。娘は、自分の気持ちを
「私なりに考えて行動しているつもり。だからあまりいろいろ言わないでほしい」
と泣きながら、父親に訴えたのです。
父親の娘への注意や傷つける言葉
母親役と父親役を こなさなければならないという思いで細かく注意したり、 傷つける言葉を発したりしていたのです。
父親は、自分自身が娘に発した言葉を次のように振り返っています。
「娘に対して「口だけではなく、やることやって主張しなさい」や「そんなことも出来ないのか?」などと、娘が傷つき自分に自信を持てなくなるような言葉を浴びせたこともありました。」
父親はアドバイスしたい
父親は、常に、娘は「こうあるべきだ」を考え、「どんなアドバイスするべきか?」という思いにとらわれていました。
娘は話を聞いてほしい
娘は、「アドバイスなしで単に話を聴いて欲しい」と自分の気持ちを伝えました。
こう言われて、娘の話を聴くことをしてこなかったこと、受け入れようとしていなかったことに気づきます。
父親の気づき
最後に、子どもが「何を求めているかをあらためて考えてみて欲しい」と、思春期の子どもを持つ親たちに伝えています。
言葉の力と親の思い込み
私も同じような経験をし、ブログに書きました。
親の子どもに対する感情的な言葉は、どれだけ深く、子どもの心を傷けるか親は自覚していません。
子どもが離れていくことに対する不安、反抗してくることに対する怒り、親子のかかわりが、変わっていく戸惑い。
そうした複雑な感情は、子どもを親の考えで縛ろうとしてしまいます。
私自身も、子どもにこうあってほしいと、つい、アドバイスになり、小言になりました。
息子と話をしようとするたびに、「アドバイスは聞きたくない」と言われ、距離を置かれました。
子どもは、親に、本当の気持ちを聞いてほしい、心を打ち明けることのできる存在であってほしいのです。
親の目には、一生懸命やっていないように見えるかもしれません。間違いだらけのことをしでかしているように見えるかもしれません。
親が変わらなければならないことを認めて、あるがままをわかってあげようとすることが大事なのです。
ママとび (体験談)ー夫婦関係 を読んで
あるエッセイを読んで、心に刺さりました。身に覚えのあることだったからです。
お互いを大切にしているおしどり夫婦の友人が、過去に夫と大喧嘩をした時に『出て行け』と言われて、深く傷ついたという話です。
『帰る場所はここしかないのに、出て行けって言われても、どこに行ったらいいのか、とても悲しく心細い気持ちになった』とその友人は、その時の気持ちを話したそうです。
反抗期の息子を相手に
私の場合は、『出て行け』と言った側で、言われたのは、反抗期の息子です。
「そんなに、この家にいるのが嫌なら、出て行け」と、その場の勢いでぶつけたことがあります。
感情的に怒りを発散させただけで、もちろん本気で出て行ってほしいと思ったわけはありません。
言われた相手がそんなに深くダメージを受けることがあるとは考えてもみませんでした。
翌日には、もう普段通りで、『出て行け』という言葉の持つ意味を深く考えたことはありませんでした。
言葉を発したほうは、つい感情的になって口から出た言葉でも、言われたほうは、心が傷ついていたかもしれません。
外面的には、何でもなさそうな顔をしていましたが、結構、センシティブなところもあるので、私の言葉をまともに受け取ってしまっていたのかもしれないのです。
まだ、10代半ばの反抗期が始まった頃でしたから、母親からそう言われてしまっては、手も足も出ません。ここしか居場所はないのですから。
息子にしてみれば、 「自分は必要とされていない、母親は、ここからいなくなってほしいと思っている」と、グサリと心に突き刺さっていたかもしれないのです。
コラム『子育ての極意は自己肯定感を子どもに持たせること』を読んで
『子育ての極意は自己肯定感を子どもに持たせること』という内容のコラムもありました。
自分は母親失格だなぁ。息子が自信をなくしたって、これじゃ当たり前。
こんな母親から、自信を持て!! 大丈夫! 必ずやれる! なんとかなる! そんな言葉を聞いたって、息子に受け入れられるわけがありません。
近い関係だからこそ
おしどり夫婦は、大げんかの後、きちんとお互いに向き合って話し合いをしたそうです。
私と息子は、その場の感情的な言い争いになっても、時間がたてば、何もなかったように、なんとなくうやむやにしてしまいます。
家族という近い関係だからこそ、きちんと面と向かって話し合う機会が必要ですね。
言葉の持つ意味を、相手はどう受け止めたのか、冷静になったとき、再度、落ち着いて振り返って見る必要があります。
息子の言葉の暴力に悩むお母さんからの相談に答えている記事
子どもたちが小さい頃の子育ても大変ですが、大きくなってから、思春期の子どもたちを相手にするのも、ストレスがたまりますよね。
特に、息子と母親の関係は特別なものがあるようです。
息子の言葉の暴力に悩むお母さんからの相談に答えている記事を見つけました。
息子から言われた言葉を真に受けて、感情的にやり返そうとしたり、小言や助言といった上から目線で叱ろうとすることは、事態を悪化させるだけだということを、私も十分経験しました。
息子は、あっけらかんと冷めた感じで、私のことを批判してきます。
その態度に、私の方は、ますます怒りで逆上し、コントロールが効かなくなります。
そして、後々まで言われた言葉を心の中で繰り返し、ストレスをため込んでしまうのです。
暴言を投げつけられたときの思いを伝える
腹を立てて、正論で責めるというのではなく、
「昨日のあの言葉に、私はとても傷ついた。悲しかった。もう言わないで欲しい」
というように、お母さんが暴言に対してどう感じたかを正直に伝え、もう言わないで欲しいと頼むべきだとアドバイスしています。
息子の態度に怒りを感じた私からのメッセージ
私も、息子の言葉や態度に怒りを感じたことがあり、許せない気持ちになりました。
その時は、数日後、冷静になってから、言われたことで、とても嫌な気持ちになった、もう二度と聞きたくないとメッセージを送りました。
息子にすれば、母親に対する反抗心をぶつけた言葉だったと思います。
今後は、それを言われた相手が、その言葉によって、どれだけ傷つくということをわかってほしいものです。
息子と私は、ちょっとしたコミュニケーションの行き違いで、口喧嘩になることもあります。
家族の間とはいえ、きちんと言葉にしなければ伝わらないこともあり、伝わり方によっては誤解や行き違いも生じます。
また、言われて傷つく言葉の暴力もあります。
トラブルになったときは、時間が経ち、冷静になった時点で、お互いに話をする機会を作る必要があると思います。
親野智可等著『反抗期まるごと解決BOOK』
中学生の頃から反発することが増えるのには発達の段階における理由があります。
『反抗期まるごと解決BOOK」の著者である教育評論家の親野智可等さんは、親が過剰に反応しないほうがいいと言います。
思春期の反発は脳の自己コントロールのバランスが崩れることが原因
脳には、欲求を自己コントロールするブレーキとアクセルの働きがあります。そのバランスが崩れるのが中学生の頃だと言います。
大人がこうした発達段階における事情を理解して、冷静に対応することが必要だと親野智可等さんは主張します。
立入禁止の張り紙
『これまでもよそよそしい雰囲気はありましたが、ある日突然自分の部屋のドアにデカデカと「立入禁止」の張り紙を貼ってきました。ノックをしても「入ってこないで」の一点張りです。
完全拒否されているようで寂しいし、どうして急にこんなことになったのかも分からず親も混乱しています。
部屋で何をしているのかも気になるし…。ひとまずこの張り紙をやめさせたいのですが、何か方法はありますか?』
(中学3年女子の父)
部屋のドアに立入禁止マ-ク
私も同じ経験をしました。
親が部屋に入るのを極端に嫌がり、入ろうとすると追い出すのです。そして、ドアに立ち入り禁止のマ-クを張りました。
子どもの拒絶的な行為は、何か理由があるだろうと、しつこく聞いたり、勘ぐったりしました。
私自身もストレスを感じ、子どもとの関係をますます悪くしました。そして、アドバイスの口調が癖になっていました。
待つ姿勢、共感的に聞くことが大事
親野智可等さんは、会話ができる日まで待つこと、そして子どもが話しかけてきたときには
・話しやすい状況や雰囲気を作る。
・共感的に聞く。
・すぐに励ましやアドバイスをしない。
という親の冷静さが必要だと助言しています。
部屋で何をしているの?
『帰るとまっすぐ部屋に直行し、そのまま閉じこもってしまいます。家族とのふれあいは一切なし。中で一体何をしているかとても気になります。』
(高校1年男子の母)
ムカつく態度はまったく同じ
私の息子もまったく同じ。「家に帰って来たら、もう少し何とかならないの?」と思うようなムカつく態度。
結局、顔を合わせると小言になってしまいます。
詮索しすぎないこと
思春期・反抗期の子どもが部屋に閉じこもる理由は、
・自分の部屋が一番安らげる空間だから
・親がうるさいから
の二つだそうです。
自分の部屋は特別な空間
『彼らにとって自分の部屋はストレスを排除できる特別な空間。』
子どものプライバシーを守ることが大事だということです。
全く会話をしていない…
『3ヶ月、ろくに話をしていないんですがこれは大丈夫ですか? 正直寂しいし不安な気持ちです。親子なのにまるで他人みたいな気分。』
(中学1年女子の父)
距離を置こうと心がけてみるものの…
『全く会話がない状況』は思春期・反抗期には珍しくないといいます。
過干渉を避けようと、下手に接触を心みることはしないほうがいいと自分に言い聞かせました。
距離をおいて、息子から何か言って来ない限り、できるだけ余計なことは言わない・しないを心がけました。
確かに、言い争いは起こりません。ストレスもお互いに軽減されます。「待つ姿勢」… しかし、気がつけば、ずっと会話のないまま。
部屋に閉じこもっていれば、顔を合わせることすらない日も多々あるわけです。
話しやすい状況・雰囲気を意図的に作る
親野智可等さんは、塾の送り迎えの車中で話をするとか、共同作業を親子でやるとか、会話をすること自体を目的とせず、意図的に話しやすい状況を作ってみることをすすめています。
何を言っても「うるせー」
『ごはんだよ「うるせー」。オフロに入って「うるせー」。明日お弁当あるの?「うるせー」。もはや「うるせー」が挨拶の息子。せめてごはんくらい食べてよ!』
(中学1年男子の母)
挨拶ぐらいしなよ!ありがとうぐらい言いなよ!
私の息子の場合、暴言は、言い争いになったとき、反射的に口にすることがあります。
でも、普段は、顔を合わせても無反応で言葉を発しないことのほうが多いです。
一つの原因は、イヤホンをして、いつも音楽を聞いていて、私の声が聞こえていないらしいということ。
気分のいいときは、向こうから挨拶してくるときもあります。
でも、こっちが「おはよう」と言って声をかけているのに、黙っていたりすると、つい、「挨拶ぐらいしなよ!」とイラついて言ってしまいます。
親野智可等さんによれば、『残念ながら、反抗期真っ只中の子どもにまともな挨拶を求めても無理です。
彼らはそんな気になれません。もし「挨拶くらいしなさい」と強要しているとしたら、それは親がケンカをふっかけているのと同じです。』…なのだそうです。
何かしてやっても、「ありがとう」の声が聞こえないと、「ありがとうは!?」と強要してしまいます。
すると、「さっき言った!」とイラついて、言った言わないで、嫌ぁ~な雰囲気がただよい始めます。
大人になっていく息子とのかかわり
親野智可等さんは、待つ姿勢と共感的に聞く受け入れの意識を強調しています。
待つことも大事です。』
『親として何か言いたいことがあっても、まずは共感的に聞くことに専念』することだそうです。
ですから、『親が過剰に反応しないほうがいい』というのが、できるだけ平常心を保つコツかもしれません。
こうなると、親の忍耐ですかね。
ただ、子どもがどんな態度を取ろうと、どんなことを口にしようと、親が待つ姿勢を取ったり、共感的に聞く意識を持つのは難しいと思います。まさに、「言うは易く行うは難し」です。