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海外の介護施設や勤務の様子を日本と比べて思うこと

現代事情

はじめに

父は、家に帰ると、黙って本を読んでいるか、テレビで時代劇やニュ-スを見ていました。

父が父親参観に初めて現れた時、普段は無口な父が優しく見えて、今でも鮮明に、その時の様子が思い浮かびます。

その父の最期は、私しか知りません。余りに救い難い、悲惨な看取りでした。

それは、私が介護・看護の知識・経験がなかったという深い後悔として残りました。

しかも、私は当初海外にいて、帰国するまで実態を詳しく知ることができなかったことも、対応に影響しました。

今から思えば、病院対応も行き届いていたとは思えません。後手後手に回った医師も、問題があったと思います。

海外で介護施設の勤務経験ができたのは、父の死後、かなり年月が経ってから、ようやく携わることができました。

母が特別養護老人ホームを利用するようになってから、母には、絶対、父のような苦しい死にかたはさせないと誓っていました。

海外と日本の施設では、システムや介護のしかたに違いがあり、どちらにもメリット・デメリットがあります。

すべての記述が、私的な見解ですが、参考にしていただけたら幸いです。

父親参観日の想い出

先日、ふと、小学校1年生のときの父親参観日の場面を思い出しました。

父が、穏やかに教室の後ろに立って、私の様子を見ていました。私は、父が気になって気になって、しかたありませんでした。

後ろを振りかえり父の様子を確かめることに忙しくて、授業どころではありませんでした。

いつも、家では、笑うことなどない父が、ニコニコしながら、自分を見てくれているのが、うれしくてたまりませんでした

ズラッと、お父さんがたが後ろに並んで、新任の若い男の先生は、さぞ緊張していたことでしょう。普段と様子が違っていました。

いつもは体操着なのに、その日は、ネクタイとワイシャツ。理科の授業だったので、その上に白衣を着ていました。

お父さんがたは、わが子の様子だけに注目していて、授業の内容や教え方は、結構、うわのそらだったでしょうけどね。

父の入院生活でつのった後悔

点滴のみで食事を取らず、意識ももうろうとしていました。

このまま、静かに眠るように息を引き取ることになればよかったのに。

しかし、輸血を行ったばっかりに苦しむ結果になりました。

挙げ句に、最期は、モルヒネで予期せぬ看取りに至ったことに、後悔が残りました。

介護の知識や経験があれば、もっと穏やかに最期を迎えさせてあげられたという思いです。

介護資格取得

家庭の事情で、海外に滞在していた期間がありました。

私は、コースで介護資格を取得し、介護施設で働く経験をしました。

その間、短期で大学の看護師コースの1授業にも参加しました。

自分のキャリアとは全く異なる分野で、専門英語だったので、ハードルは高かったです。

ただ、子育てのみに明け暮れていた時期だったので、外に出て授業に参加すること自体、充実した時間でした。

介護施設勤務

実習を終え、いよいよ介護施設への勤務開始です。

日本の中でも、介護施設にはいろいろな種類があり、また、同じ種類の施設であっても、施設ごとに様子は違うでしょうから、海外と日本というふうに単純比較はできません。

ただ、勤務した施設と、母の入所していた施設を客観的に思い起こし、明確に違っていたことについては指摘できます。

しかし、母の施設については、そこで勤務したわけではなく、利用者家族としてのかかわりだけなので、表面的な外部者としての視点になります。

2つの施設の違い

ここでは、主に、私の働いた施設を中心に記述します。

入浴

日本では、介助の程度によって入浴の仕方が違うと思いますが、基本は、自宅同様、お風呂ですよね。

私の勤務した施設では、朝食前7時に、一斉にシャワーでした。一人につき、1名の介護士がつき、数分程度のシャワー開始です。

要介護の重い利用者は、車椅子食事後、スタッフ2~3名によるベッドシャワーです。

スタッフも多く出入りするので、非常ににぎやかです。また、すべてが時間との勝負。朝から、日本の静かな環境とは違います。

食事

一斉に食堂に集まります。それぞれのテーブルに、グループになって座ります。

ほとんど、スタッフが車椅子で食堂に移動させます。ベッドで寝たきりの人には、ベッドまで、食事を運びます。

メニューは、個別に要介護に応じて選択があります。個人の好みやチョイスを重視し、テ-ブルに並ぶ料理は、様々です。

一番驚いたのは、食事中、ワインやビールなど、アルコールを飲むことができることです。

もちろん、スタッフの監視のもとですから、飲みすぎで酔って始末に負えないということは起こりませんが、中には、アルコール好きの人がいました。

おやつ

午前10時、午後3時に、それぞれの部屋に、おやつが配られます。ちょうど、飛行機の機内食のように、トローリーでまわり、好みを聞いて提供します。

コーヒーか紅茶、ケーキ、クッキー、サンドイッチ、プディングなど、好きなものが選択できます。

日本と比べると、かなりボリュームがあり、選択の幅があります。結構、カロリーも高いと思います。

スタッフも、午前、午後に一回ずつ、おやつ休憩、昼、夕食休憩が交代制でありました。

介助

介助は、基本的に機械を使います。カラダが大きくて重い人が多いので、抱えたり、動かしたりは、無理です。

常に、スタッフ2~3名で対応します。利用者を機械で持ち上げたり、吊るしたりする操作を覚え、慣れるのに大変でした。

基本的には、介助する側に、カラダの負担が行かないように、ケガをしないように訓練を受けました。

1ヶ月に1度程度は、勤務に関する研修が義務づけられていました。

活動

施設では、毎日、エクササイズやゲーム活動のために、専門スタッフが訪れました。定期的に、遠足も設定されていました。

施設を訪れたり、週末に外泊に連れ出したりする家族も多く、訪問者の出入りが絶えずありました。

看護師と介護士

看護師は、クスリ関係を担当しましたが、介護士の監督•管理も担いました。

看護師は地位が高く、施設の責任者としての役割を負っていました。

様々な場合において、判断が求められることも多かったです。

介護施設のあり方

以上、経験した範囲内で書いてきました。

日本の介護施設について思うことは、お年寄りを閉じ込める場であってはならないし、自由を奪う場であってほしくないということです。

カロリー計算、栄養バランスも必要かもしれませんが、もっと、食事を楽しむことを重視してもいいのではないかと思います。

限られた人生を、堅苦しいルールに縛られた生活にしてほしくないのです。

働いていた施設には、余命の限られたタバコの好きな男性がいました。その男性は、癌を患っていました。

その男性には、好きなように好きなだけ、タバコを吸っていいと告げられていました。

いつも、あるスタッフが、その男性に付き合って、外で一緒にタバコを吸いながら、談笑していたのを覚えています。

まとめ

海外の介護施設では、スタッフが大勢一度に集まり、時間で一斉に作業をするというイメージでした。

日本では、静かに、それぞれの部屋で過ごし、食事の時間に食堂に移動するということで、テレビがずっとついているという印象でした。

私が入所するとしたら、どちらを選ぶか考えてみると、正直のところ、どちらも気が乗りません。

こうして、老人だけ集められた場所で、自分より認知症レベルの重い人とも一緒にずっと住み続けるというのは、避けたいと思ってしまいます。

いつまでも、自宅で気ままに過ごすのが望みです。

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